瀬戸うちの津々浦々はまるで光や風を楽しめる縁側のような場所です どうぞおくつろぎください

2月29日 春、尾道

ここは瀬戸内の〝尾道の縁側〟
春の雨でした。
冷たく降る日もあたたかく降る日も、日ごと、その雨の魅力に惹かれ、 春はこの町に柔らかな明るい色をさしてゆきます。
港沿いの道に咲く河津桜。 雨の恵みを受け取り、可憐に咲いています。

 鮮やかな緑色をした、可愛く小さな鳥が枝に遊んでいるのを見つけ、 そーっとそーっと近づき、ぱしゃり!
その横を、渡船が向島へと 海の道を渡しています。
そんな風景が日常のなかに見える町。
港は駅のようにまちとまちを繋ぎ、 船が、まちと人と一緒に暮らしている素敵に、ココロ惹かれます。


この町を訪れるのは何度目になるでしょうか。
1度目は秋、2度目は春、3度目は夏。もちろん、冬にも来ましたよ。
季節を変え、時間を変え、 何度でも訪れたくなる場所、
それが瀬戸内海の海辺〝縁側〟なのです。
今日は雨の尾道。 でもあいにくの、とは言いません。
雨には雨のリズムで町を歩けばいいのです。
空は曇っていたけれど海は穏やかに船を浮かべ、今日も旅人をあたたかくもてなしてくれました。

 お昼に訪れた「荒神堂専門店」さん。荒神堂通りにあるカレーのお店です。 人通りの少なかった今日の尾道、がらんとしていたのは やはり 雨のせいだけではないのだろうな、、、
そんなことを考えながら商店街のアーケードを雨粒がはねる音を聞きながら歩いてゆきました。
このお店を訪れるのは2度目。
今日はカウンターに座りました。
チキンカレーを注文すると店主が、 「今日のカレーは作りたてなのとスパイスの配合を考え、いつもより少しクローブが多めに入っているので 酸味があります。味をまろやかにするために、ズッキーニを炒めたものを入れてもよろしいでしょうか?」 と尋ねられました。
表に〝新メニュー野菜カレー〟と書いてあったので新しいメニューかな?と思って聞いていると、店主は続けてこう言いました。


「武漢から帰った知り合いのインド人が全員陰性だったんですよ。 だからスパイスはきっと体にいいなと思って。 僕はカレー屋なんで、 カレー屋にできることをやろうと思って。 抗酸化作用のある〝クローブ〟という、薬にも使われるスパイスを多めに入れて、ここ数日お店を休んでカレーを全てつくりなおしました。」 とおっしゃっていました。 連日、メディアから聞こえてくる、伝染病についての情報に対して 《今、出来ること》をやろうというスタンス。 なんと素晴らしい!!
〝適材適所〝という言葉が思い浮かびます。このような事態に直面したとき、荒神堂専門店さんのように各々の持ち場で〝できること〟 に思いを馳せ 〝自分事〟として向き合う、 そんな動きが出来るかどうか。
今、それを問われているのかもしれないと思ったのでした。

「僕は、カレー屋なんで。 カレー屋にできることをやりたい」

優しいものごしの店主から聞いた、この言葉のもつ思いの強さをギフトとして受け取らせていただき、 心の中に大切にしまいました。

尾道に来ると度々思うことがあります。
地元の人、おひとりおひとりが とても親切であるということ。
日本遺産に認定され、町の外から日々たくさんの人が 訪れ、初めて観光に来て感動を表す人にも 「そうじゃろうそうじゃろう、 尾道はええとこじゃろう。」と、 もてなしの心で寄り添ってくださる。
そんな人の〝善さ〟
それって、なんだか 瀬戸うちの縁側で暮らすということの産物でもあるのかもしれないと思えるのでした。
ここ、尾道の港は、今年開港850年。
潮待ちの港が船を守りながら、時を育んだ歴史ある町。

あなたもこの尾道の縁側に腰掛け、海と会話をしにぜひいらしてください。
瀬戸うちの縁側はいつでもあなたに、 特等席を設けてくれています。

それでは、感動とともに、また、次の旅へ。

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